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TORENDIA

あきまろに答ふ

本文約1,800字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

「も」という助詞を巡る俳句や和歌における理屈の有無について、あきまろからの質問に答える形式でその功罪を論じる。作者は俳句などで忌避される「も」の字について、単に理屈と決めつけるのではなく、文脈や客観的・主観的な歌の性質によって意味合いが異なることを指摘する。特に客観的な歌において意味の強い「も」が挿入されると理屈っぽく感じられると分析し、文学における「知」と「情」の関係性を含めて独自の基準を提示している。

正岡子規

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🎧 あきまろに答ふ / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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「も」の字につきて質問に御答申候。「も」の字は元来理屈的の言葉にて俳句などにては「も」の字の有無をもって月並的俗句なるか否かを判ずることさえあるくらいに候えども、さりとて「も」の字ことごとく理屈なるにも無之候。拙作に対する質問に答えんは弁護がましく聞えて心苦しき限りながら議論は議論にて巧拙の評にあらねば愚意試に可申述候。

「も」の字にも種類ありて「桜の影を踏む人もなし」「人も来ず春行く庭の」「屍をさむる人もなし」などいえる「も」はほとんど意味なき「も」にて、「人なし」「人来ず」といえると大差なければ理屈をば含まず、また「梅咲きぬ鮎ものぼりぬ」の「も」は梅と鮎とを相並べていうものなればこれも理屈には相成不申候。実朝の「四方の獣すらだにも」はやや理屈めきて聞ゆる「も」にて「老い行く鷹の羽ばたきもせず」「あら鷹も君が御鳥屋に」の二つはややこれに似たるものに有之候。その理屈めきて聞ゆるは二事二物を相対して言う意味ながら一事一物をのみ現し他を略したるがためにして、例えば獣だに子を思うというはまして人は子を思うということを含み、「羽ばたきもせず」というはまして飛び去らんともせずということを含み、「あら鷹も」というはそのほかの鷹もという意を含むがごときものに候。しかしこの獣の歌も鷹の歌も全体理屈づめにしたる歌には無之、悲哀感慨を述べたるものと見て差支なかるべく候。(「羽ばたきもせず」の歌やや理屈めきたるは「ほだしにて」の語あるがためにして「も」の論とは異なり)

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