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TORENDIA

榎物語

本文約8,800字 ・ 読了時間 約18分

あらすじ(AIが作成しました)

荏原郡の満行寺に残された姫路革の篋から、かつて住職が記した懺悔の文書が発見される。西国丸円藩士の次男として生を受け、学問を志して江戸に出た著者は、品川宿の妓楼で仏戒を破り、帰路に迷い込んだ先で侍同士の揉め事に遭遇する。その場に落ちていた大金を拾ったことで、著者は恐れから同行の僧を殺害し、逃亡の末に満行寺の住職となる。拾った金の所在を巡る騒動や自身の罪業の深さに苦悩し、老境を迎えた著者が、過去の行状と懺悔を綴る物語を描く。

永井荷風

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市外荏原郡世田ヶ谷町に満行寺という小さな寺がある。その寺に、今から三、四代前とやらの住職が寂滅の際に、わしが死んでも五十年たった後でなくては、この文庫は開けてはならない、と遺言したとか言伝えられた堅固な姫路革の篋があった。

大正某年の某月が丁度その五十年になったので、その時の住持は錠前を打破して篋をあけて見た。すると中には何やら細字でしたためた文書が一通収められてあって、次のようなことがかいてあったそうである。

愚僧儀一生涯の行状、懺悔のためその大略を此に認め置候もの也。

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