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TORENDIA

耳たぶの穴の一例

本文約380字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

川童(ガタロ)と交わした約束のしるしとして耳たぶに穴をあける家系の言い伝えを、水蜘蛛退治の類話とともに紹介する柳田國男の民俗誌。

柳田國男

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🎧 耳たぶの穴の一例 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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奈良縣吉野郡天川村坪ノ内の寺井といふ家名の一族の人々には、耳たぶに針で突いたほどの穴があるといふ。是は昔ガタロ(川童)と約束して、此家の子孫の者は決して取らぬといふので、其しるしに耳たぶに穴をあけて置くことにしたのだと謂つて居る。川童との約束は他の多くの例のやうに、馬に惡戲して曳かれたといふのでは無く、こゝの言ひ傳へは「水蜘蛛の怪」といふ話の系統に屬する。即ち釣を垂れて居ると蜘蛛が來ては絲をかけるので、それを警戒して逆に陸の上へ引張り上げて退治したといひ、他できかぬことは、是には柿の樹にしがみついたといふ話が附いて居る。宮本常一君の吉野西奧民俗採訪録は忠實な聞書きだが、此中では天川村の記事が精彩を帶び、殊に寺井氏一門を含んだ坪内の社家の生活が、殆と湮滅の瀬戸際に於て保存せられて居る。山間生活と古代信仰との結び付きに就ては、考へさせられる事蹟が甚だ多い。

完

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