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TORENDIA

雨を降らす話

本文約12,500字 ・ 読了時間 約25分

あらすじ(AIが作成しました)

人工的に雨を降らせるという人類の長年の願望に対し、科学的なアプローチで挑む近年の試みを紹介する。雲を構成する微水滴を成長させて雨粒に変えるための様々な実験や仮説を検証し、アメリカを中心に行われたドライアイスや沃化銀を用いた降雨実験の事例を解説する。気象制御が将来的に実用化される可能性とその課題、および国際的な協力による天候支配への提言を綴る。

中谷宇吉郎

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人間の力で雨を降らそうという願望は、昔からどの国にもあった。いろいろな祈祷や、雨乞いの歌の話などは、その一つのあらわれである。

そういう話は別として、科学の力で雨を降らそうという企ても、もうずいぶん前から、いろいろ試みられている。それが最近になって、遂に成功したというニュースが、この頃アメリカから伝えられて来た。リーダーズ・ダイジェストなどにも紹介され、日本でも大分注目をひいている話である。もっともこの話は、いつでも好きな時に雨を降らせるというのではない。大気中に水分が充分あるのに、雨が降らない場合に、人工で降雨を発生させるというのである。

それではつまらないと思われるかもしれないが、それが実はたいしたことなのである。というのは、大気中には、たいていの場合、水分はかなりたくさんあるからである。よく晴れた日でも、空に全然雲がないという日は、日本などでは、一年に数日しかない。空には雲があるのが当り前と、誰でも思っている。雲はもちろん非常に小さい水滴の集りであるから、水分は充分にあるわけである。

ところで雲も雨も水滴であるのに、雨ならば降るが、雲は降らないという理由は、極めて簡単である。雲も降るのであるが、その落下速度があまり小さいので、浮いているように見えるだけである。それならば、充分な時間をかければ、雲もやがて地上に届くはずであるが、実際は途中で蒸発してしまうので、水としては地面に達しない。

雲は直径百分の一ミリ程度の微水滴である。こういう小さい水滴が、何らかの経路で大きくなって、直径半ミリとか一、二ミリとかの水滴になれば、雨となって降って来る。それで人工で雨を降らす術は、結局雲粒をいかにして成長せしめるかという点に帰する。それならば、天然に雨滴が出来る経路を研究して、その機構を人工的に加速してやればよいということになる。

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