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TORENDIA

日本の美

本文約40,500字 ・ 読了時間 約81分

あらすじ(AIが作成しました)

東洋の芸術を野蛮なものと見なす誤った考えに疑問を呈し、機械文化に追い立てられながらも独自に醸成された文明と芸術の価値を論じる。日本古来の建築や文学に共通する空虚の美や、絶え間なく変化し流動する精神、一息の呼吸の中に宿る自在な心に注目する。重さや停滞を避け、常に清く新しい状態を求める日本人の感性を、世界の芸術文化と対比させながらその独自性を描き出し、日本的な美の様式とその本質について考察する。

中井正一

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一 西洋の美と東洋の美

これからいろいろ「日本の美」について、お話をいたしますにあたって、まず、この章は、西洋の美と東洋の美の関係について、のべさせていただきます。

いろいろの世界の学者の議論の中に、一つの間違ったと思われる考えかたがあり、また日本人もそう思っているらしい思い違いがありますので、そのことをいっとうはじめに申しあげておきます。

それは、東洋の芸術は野蛮な民族の芸術である、という考えであります。そのことは、東洋の芸術が西洋の芸術にくらべて、発達の程度が低く、また遅かった芸術であると考える考えかたであります。

この考えかたは戦いに負けた日本人が、何となく日本を軽蔑しているこころにまじって、日本人にとって、とんでもない悪い影響をあたえて、みながいっているアプレ・ゲールという言葉の中にある、やりきれないこころもちを引き起す危険があるのであります。

今から十五年前、今の中国を予言した有名な著書『万里の長城はくずれる』という本を書いた、グロヴァー・クラーク氏は、その本の中で次のような意味のことをいっています。

「中国はなるほどたびたびの戦争はあったが、領土が広く、交通が貧弱であったから、大きな地区は破壊から取り残され、印刷術、陶器すなわち焼きもの、ブロンズすなわち青銅、宝玉たまの彫刻、または中国における銀行の組織、官吏登庸の試験制度など、ヨーロッパにさきんじて、はるかに発達していた」

さらにつづけて、

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