TRENDIA CLASSIC

日本の美

中井正一

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一 西洋の美と東洋の美

これからいろいろ「日本の美」について、お話をいたしますにあたって、まず、この章は、西洋の美と東洋の美の関係について、のべさせていただきます。

いろいろの世界の学者の議論の中に、一つの間違ったと思われる考えかたがあり、また日本人もそう思っているらしい思い違いがありますので、そのことをいっとうはじめに申しあげておきます。

それは、東洋の芸術は野蛮な民族の芸術である、という考えであります。そのことは、東洋の芸術が西洋の芸術にくらべて、発達の程度が低く、また遅かった芸術であると考える考えかたであります。

この考えかたは戦いに負けた日本人が、何となく日本を軽蔑しているこころにまじって、日本人にとって、とんでもない悪い影響をあたえて、みながいっているアプレ・ゲールという言葉の中にある、やりきれないこころもちを引き起す危険があるのであります。

今から十五年前、今の中国を予言した有名な著書『万里の長城はくずれる』という本を書いた、グロヴァー・クラーク氏は、その本の中で次のような意味のことをいっています。

「中国はなるほどたびたびの戦争はあったが、領土が広く、交通が貧弱であったから、大きな地区は破壊から取り残され、印刷術、陶器すなわち焼きもの、ブロンズすなわち青銅、宝玉たまの彫刻、または中国における銀行の組織、官吏登庸の試験制度など、ヨーロッパにさきんじて、はるかに発達していた」

さらにつづけて、

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