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TORENDIA

『竹の家』

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の映畫を卑俗視し、外国映画を高級と見なす当時の風潮や、日本映画に対するアメリカ人の評価と国内の反応を論じる。特に日本で国辱的と騒がれた映画『竹の家』を巡り、アメリカ側の好意的な反応や、自国文化へのこだわりからくる日本側の過敏な反応を取り上げ、映画の質と国民性の違いについて独自の視点を提示する随筆である。

中谷宇吉郎

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🎧 『竹の家』 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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この頃はだいぶちがって來たが、つい最近までの日本では、外國映畫が高級で、日本映畫は卑俗なものと、きめてかかる習慣があったように思はれる[#「思はれる」はママ]。

新聞や雜誌に載る映畫評を見ていると、日本の映畫批評家は、たいへんな勉強家のようである。あまり聞いたこともないような俳優の名前が、一杯並べられ、それらの逸話のようなものまでが、詳しく書いてある。世界中の映畫のことは、樂屋裏のすみずみまですっかり分っている點、まことに驚くべきことである。何か種本のようなものがあるのかもしれないが、それでもえらいものである。

ところで、アメリカでも、映畫に一隻眼をもっている人たちの中には、日本の文化人と全く同じようなことをいう人がよくあって、その點非常に興味がある。

そういう人たちが、第一番にけなすのは、ハリウッド映畫である。あのこけおどしの低級なハリウッド映畫を見ていると、頭が痛くなるという。ものを考えさせる映畫は、イギリスかイタリアのもの、それと最近の日本の映畫くらいのものである。それにしても、この近年の日本の映畫の進歩は實に目覺ましい。非常に哲學的である、というのであるから、全く恐れ入る。

この仲間には『地獄門』や『雨月物語』は、非常に評判がよい。しかし『竹の家』は下らないという。一番の理由は、ハリウッド映畫に似ているからである。とにかくこの連中には、アメリカ風なものはみな卑俗なのだから、話は簡單である。

しかし『竹の家』は、一般のアメリカ人には、かなり評判がよかった。よく顏を合わせる連中は、たいていこの映畫を見ていた。そして、「非常に面白かった。東京の街は美しいね(ビューティフル)」とか、「僕はあの映畫で東京見物をして來たよ」とか、いろいろお世辭をいう。まず例外なく褒めたといっていい。

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