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TORENDIA

闇夜の梅

本文約21,500字 ・ 読了時間 約43分

あらすじ(AIが作成しました)

浅草三筋町の紙店甲州屋では、後家の主人が娘のお梅と奉公人の粂之助の仲を疑い、粂之助に暇を出そうと画策する。その夜、お梅が家出をし、のちに池で遺体となって発見される。犯行を企てたのは粂之助の弟である三次郎であった。三次郎は自ら罪を告白し、遠島処分を受けたのちに改心して僧となった。一方、甲州屋の跡を継いだ粂之助は、新たな妻を娶り、母に孝行を尽くしながら平穏に暮らす。

三遊亭圓朝

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一

エヽ講談の方の読物は、多く記録、其の他古書等、多少拠のあるものでござりますが、浄瑠璃や落語人情噺に至っては、作物が多いようでござります。段々種を探って見ると詰らぬもので、彼の浄瑠璃で名高いお染久松のごときも、実説では久松が十五、お染が三歳であったというから、何うしても浮気の出来よう道理がござりませぬ。久松が十五の時、主人の娘お染を桂川の辺で遊ばせて居る中に、つい過ってお染を川の中へ落したから御主人へ申訳がない、何うかして助けにゃならぬと思ったものか、久松も続いて飛込むと、游泳を知らなかったからついそれ切りとなった。これを種にしてお染久松という質店の浄瑠璃が出来ましたものでござります。又大阪の今宮という処に心中があった時に、或狂言作者が巧にこれを綴り、標題を何としたら宜かろうかと色々に考えたが、何うしても工夫が附きませぬ、そこで三好松洛の許へ行って、

「なんとこれ迄に拵えたが、外題を何とつけたらよかろう」

「いやお前のように、そんなに凝っちゃアいけませぬ、寧そ手軽く『心中話たった今宮』と仕たらようござりましょう」

「成程」

と直に右の通の外題にして演ると大層に当ったという話がある。その真似をして林家正藏という怪談師が、今戸に心中のあった時に『たった今戸心中噺』と標題を置き拵えた怪談が大して評が好かったという事でござります。この闇夜の梅と題するお話は、戯作物などとは事違い、全く私が聞きました事実談でござります。

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