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TORENDIA

古代国語の音韻に就いて

本文約59,100字 ・ 読了時間 約119分

あらすじ(AIが作成しました)

言語の音である音韻について、古代における研究方法や言語特有の音の組み合わせを論じる。音の違いは語の意味を区別する標識となり、それらを分類する研究が重要であると説く。契沖や本居宣長らの仮名遣いに関する研究を例に挙げ、古典に用いられた万葉仮名の使い分けという観点から、古代の音韻を明らかにしようと試みる講演録である。

橋本進吉

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一

我が国の古典を読むについて何かその基礎になるようなことについて話してもらいたいという御依頼でございました。それで、我が国の古代の音韻についてお話申上げたいと思います。もっともこれについては、私の研究もまだ最後の処まで行き着いていないのでございまして、自分でも甚だ不満足ではございますが、しかしこれまで私が調べました範囲内でも、古典をお読みになるような場合に多少参考になるようなことは申上げることが出来ようかと思います。

古代の音韻と題しておきましたが、現今の言語研究の上に「音韻」と「音声」とを区別して使うことがございますけれども、先ずこのお話では、格別そういう厳密な区別を設けないで、ただ音韻と言っておいたので、つまり言語の音のことでございます。

言語の音は、現在の言語であれば直接我々が耳に聴いて判るものでありますが、昔の言語になりますと、昔の人が話していたのを我々は直接に耳に聴くことは出来ませぬ。今の言語であれば、直接耳に聞える音を対象として研究することが出来ますが、昔の言語でありますと、自然、言語の音を文字で写したもの、すなわち音を代表する文字に基づいて研究するより仕方がない訳であります。

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