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TORENDIA

日本山岳景の特色

本文約7,100字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の山岳風景は、日本アルプス系の火成岩・水成岩による山々と、富士帯に代表される火山が交錯して形成される点に最大の特徴がある。筆者は火山を単なる景観としてだけでなく、その端厳な輪廓や色彩、そして鋭敏な変化を通じて、日本アルプスにない独自の美を湛える存在として論じる。地質学的な対比や両者の調和が生み出す壮大な線と色彩の調和こそが、この国の山々を世界的に類を見ない景観美へと昇華させていることを綴る。

小島烏水

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私たちが学生旅行をした時代には、日本の名山と言えば、殆んど火山に限られたように思われていた、富士山にさえ登り得らるれば、あとはみんな、それよりも低く、浅く、小さい山であるから、造作はないぐらいに考えていた、そのころ、今日でいう日本アルプス系の大山嶺で、私が名を知っていたものは、立山御嶽などいう火山の外には、木曾の駒ヶ岳(大部分黒雲母花崗岩より成る)ぐらいなものであった、いま憶い出しても笑わずにはいられないのは、その時代、或地理書の山岳高度表で、富士山の次に、白峰だの赤石山だのという、よほど高そうな山の名を見て何処にある山岳だか、一向見当がつかない、学校の教員も友人も、誰も知っていたものはなかった。

私は讃岐の産れで、国には崇徳上皇の御陵のある白峰という阜陵がある、上田秋成の『雨月物語』や、露伴氏の作として、かなり評判のあった『二日物語』は、この白峰に取材がしてあるが、まさか、あの白峰じゃあなかろうと、真面目になって考えこんだものである。

志賀重昂氏の『日本風景論』を読み耽るようになった時分は、山の名ぐらいは、おかげで少し知って来たが、この本は、火山岩や火成岩の山岳ばかりを書いて、水成岩のそれを、全部省略してあるため、白峰や赤石山については、やはり何も知るところがなかった、もっとも同書の「花崗岩の山岳」という章に、「日本の山岳中、火山岩に次ぎ、高邁なるは花崗岩に属し(秩父岩より組成せる甲斐の白根山系を除く)」とあるのを読んで、甲斐に白根なんていう山があるかしらんと思った、この白根と白峰とは、同一山で赤石山系中の最高点を占めていることは、今日は多少山岳地理に注意するぐらいの人は、誰でも知っている、これは私と同時代同年輩の人たちが、古来著名の火山以外、山岳についての知識は、至って貧弱で、これほどまでに迂闊であったという一例として、挙げて置くのである。

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