本文へ移動
TORENDIA

どんたく

本文約7,100字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

少年の日の懐かしい思い出や歌、夢と現実に揺れる情景を綴る詩集。角兵衛獅子や雪の日の小兎、山賊との遭遇、芝居の歌など、日常の風景や子供の空想が描かれる。季節の移ろいや人々の営みを通して、喪失感や故郷への慕情、未だ見ぬ世界への旅立ちといった繊細な感情が、抒情的な言葉で表現される。かつての記憶や夢、子供らしい純粋な問いかけを織り交ぜながら、心の陰影と移ろいゆく日々を詩的に映し出す作品である。

竹久夢二

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 8

こはわが少年の日のいとしき小唄なり。

いまは過ぎし日のおさなきどちにこのひとまきをおくらむ。

お花よ、お蝶よ、お駒よ、小春よ。太郎よ、次郎よ、草之助よ。げに御身たちはわがつたなき草笛の最初のききてなりき。

[#改丁]

[#ここから横組み]TO[#ここで横組み終わり]

[#改ページ]

[#ここから横組み]

NMU-NO-KI NMU-NO-KI

NYA SYANS.

OKAN GA NATTARA

OKYA SYANS.

[#ここで横組み終わり]

[#改丁]

どんたく

[#改丁]

歌時計

ゆめとうつつのさかひめの

ほのかにしろき朝の床。

かたへにははのあらぬとて

歌時計のその唄が

なぜこのやうに悲しかろ。

[#改ページ]

ゆびきり

指をむすびて「マリヤさま

ゆめゆめうそはいひませぬ」

おさなききみはかくいひて

涙うかべぬ。しみじみと

雨はふたりのうへにふる

またスノウドロツプの花びらに。

[#改ページ]

紡車

しろくねむたき春の昼

しづかにめぐる紡車。

をうなの指をでる糸は

しろくかなしきゆめのいと

をうなの唄ふその歌は

とほくいとしきこひのうた。

たゆまずめぐる紡車

もつれてめぐる夢と歌。

[#改丁]

人買

秋のいり日はあかあかと

蜻蛉とびゆくかはたれに

塀のかげから青頭巾。

「やれ人買ぢや人買ぢや

どこへにげようぞかくれうぞ」

赤い蜻蛉がとびまはる。

[#改ページ]

六地蔵

背合の六地蔵

としつきともにすみながら

ついぞ顔みたこともない。

でもまあ苦にもならぬやら

いつきてみても年とらず

赤くはげたる涎掛。

[#改ページ]

越後獅子

角兵衛獅子のかなしさは

親が太鼓うちや子がおどる。

股のしたから峠をみれば

もしや越後の山かとおもひ

泣いてたもれなともどもに。

角兵衛獅子の身のつらさ。

輪廻はめぐる小車の

蜻蛉がへりの日もくれて

旅籠をとろにも銭はなし

あひの土山あめがふる。

[#改丁]

赤い木の実

雪のふる日に小兎は

あかい木の実がたべたさに

親のねたまに山をいで

城の門まできはきたが

あかい木の実はみえもせず

路はわからず日はくれる

ながい廊下の窓のした

なにやら赤いものがある

そつとしのむできてみれば

こは姫君のかんざしの

珊瑚のたまかはつかしや

たべてよいやらわるいやら

兎はかなしくなりました。

[#改ページ]

鐘

竹久夢二の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本