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TORENDIA

大きな蝙蝠傘

本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

田舎から転校してきた幹子は、古風で大きな蝙蝠傘を愛用しており、その姿は級友たちの冷笑の的となる。ある日、雨が激しく降り出した際、幹子は自分をからかっていた時子や朝子をその大きな傘に入れ、三人で仲良く家路につく。

竹久夢二

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🎧 大きな蝙蝠傘 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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それはたいそう大きな蝙蝠傘でした。

幹子は、この頃田舎の方から新しくこちらの学校へ入ってきた新入生でした。髪の形も着物も、東京の少女に較べると、かなり田舎染みて見えました。けれど、幹子はそんな事を少しも気にかけないで、学科の勉強とか運動とか、つまり、少女のすべきことだけをやってのけると言った質の少女でした。たとえば青い空に葉をさしのべ、太陽の方へ向いてぐんぐん育ってゆく若木のようにのんびりした少女でした。

それにしても、幹子が毎日学校へ持ってくる蝙蝠傘は非常に大きなもので、忽ち学校中の評判になりました。

どこの級にも、頓智があってたいへん口が軽く、気の利いたことを言っては皆を笑わせることの好きな愚な生徒が一人や二人はあるものです。幹子の級にも、時子と朝子という口のわるい生徒がありました。

ある日、幹子は学校へゆく途中で、この口のわるい連中に出会いました。むろんこの時、幹子は例の蝙蝠傘を持っていたので、忽ちそれが冷笑の的になりました。

「あら何処の紳士かと思ったら、幹子さんだったわ、幹子さんお早う」

時子が言った。なるほど幹子の蝙蝠傘は、黒い毛繻子張で柄の太い大きなものだから、どう見ても、祖父様の古いのをさしたとしか見えませんでした。事実またそうであったかもしれません。この場合「何処の紳士かと思ったら」というのは、ほんとに適評だったので、皆はどっと笑いくずれました。

幹子も一緒になって笑いながら「お早う」と挨拶して、つまらないお友達にかまってはいられないと言ったように、さっさとそこを通りぬけて、まっすぐに学校の方へ歩いた。

「あのくらい蝙蝠傘が大きかったら日にやけないで好いわね」

「ええ、だから幹子さんは、お色が白いわよ」

そう言って冷笑しているのも幹子の耳へ這入った。けれど幹子は何を言われても平気でいた。

「でも幹子さんの田舎じゃあれでたいへんハイカラなのかも知れないわ」

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