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TORENDIA

定本青猫

本文約26,500字 ・ 読了時間 約53分

あらすじ(AIが作成しました)

作者自身の深い哀愁と厭世的なデカダンスの悲哀を、都会の電線の青白い光に象徴し綴る詩集。初版の構成や挿絵の不備を正し、自身が真に意図した詩境を完成させるべく刊行された定本版である。過去の詩作に新たな詩篇を補遺し、自己の魂の奥底にある孤独や、宇宙の意志に対する根源的な悩みと不安を、鮮烈なイメージと幻燈のような映像美を用いて描く。著者の魂の真実を捉えるべく、改訂された詩群を通してその芸術の全容を提示する。

萩原朔太郎

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宇宙は意志の現れであり、意志の本質は惱みである

シヨウペンハウエル

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自序

「青猫」の初版が出たのは、一九二三年の春であり、今から約十年ほど昔になる。その後ずつと絶版になつて、市上に長く本を絶えて居た。元來、詩集といふものは、初版限りで絶本にするところに價値があるので、版を重ねて増册しては、詩集の人に貴重される稀本の價値が無くなつて來る。しかも今日、あへてこの再版を定本にして出す所以は、著者の私にとつて種種の理由があるのである。

第一の理由は、初版「青猫」の内容と編輯とが、私にとつて甚だ不滿足であり、意にみたないところが多かつた爲である。この詩集の校正が終り、本が市上に出始めた頃、私はさらにまた多くの詩を作つて居た。それらの詩篇は、すべて「青猫」に現れた同じ詩境の續篇であり、詩のテーマに於てもスタイルに於ても、當然「青猫」の中に編入すべき種類のものであつた。否むしろそれが無ければ、詩集としてのしめ括りがなく、大尾の完成が缺けるやうなものであつた。しかも詩集は既に製本されて出てしまつたので、止むを得ず私は、さらに此等の詩を集めて一册にし、青猫續篇詩集(第二青猫)として刊行しようと考へた。然るにその出版の好機がなく、且つ詩の數が少し豫定に足りないので、そのまま等閑に附してしまつた。但し此等の詩篇は、當時雜誌「日本詩人」その他に發表し、後に第一書房版の綜合詩集にも編入したので、私の讀者にとつては既に公表されてる者なのである。しかも「青猫」を完全な定本詩集とする爲には、是非とも此等の詩を補遺しなければならないので、初版出版後今日まで、長く私はその再版の機會を待つて居た。

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