貝の火
本文約14,300字 ・ 読了時間 約29分
あらすじ(AIが作成しました)
子うさぎのホモイは、溺れていたひばりの子を助けて、宝珠「貝の火」を授かる。宝珠を手にしたホモイの心が、少しずつ変わっていく。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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今は兎たちは、みんなみじかい茶色の着物です。
野原の草はきらきら光り、あちこちの樺の木は白い花をつけました。
実に野原はいいにおいでいっぱいです。
子兎のホモイは、悦んでぴんぴん踊りながら申しました。
「ふん、いいにおいだなあ。うまいぞ、うまいぞ、鈴蘭なんかまるでパリパリだ」
風が来たので鈴蘭は、葉や花を互いにぶっつけて、しゃりんしゃりんと鳴りました。
ホモイはもううれしくて、息もつかずにぴょんぴょん草の上をかけ出しました。
それからホモイはちょっと立ちどまって、腕を組んでほくほくしながら、
「まるで僕は川の波の上で芸当をしているようだぞ」と言いました。
本当にホモイは、いつか小さな流れの岸まで来ておりました。
そこには冷たい水がこぼんこぼんと音をたて、底の砂がピカピカ光っています。
ホモイはちょっと頭を曲げて、
「この川を向こうへ跳び越えてやろうかな。なあに訳ないさ。けれども川の向こう側は、どうも草が悪いからね」とひとりごとを言いました。
すると不意に流れの上の方から、
「ブルルル、ピイ、ピイ、ピイ、ピイ、ブルルル、ピイ、ピイ、ピイ、ピイ」とけたたましい声がして、うす黒いもじゃもじゃした鳥のような形のものが、ばたばたばたばたもがきながら、流れて参りました。
ホモイは急いで岸にかけよって、じっと待ちかまえました。
流されるのは、たしかにやせたひばりの子供です。ホモイはいきなり水の中に飛び込んで、前あしでしっかりそれをつかまえました。
するとそのひばりの子供は、いよいよびっくりして、黄色なくちばしを大きくあけて、まるでホモイのお耳もつんぼになるくらい鳴くのです。
ホモイはあわてて一生けん命、あとあしで水をけりました。そして、
「大丈夫さ、 大丈夫さ」と言いながら、その子の顔を見ますと、ホモイはぎょっとしてあぶなく手をはなしそうになりました。それは顔じゅうしわだらけで、くちばしが大きくて、おまけにどこかとかげに似ているのです。
けれどもこの強い兎の子は、決してその手をはなしませんでした。怖ろしさに口をへの字にしながらも、それをしっかりおさえて、高く水の上にさしあげたのです。