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TORENDIA

人生の共感

本文約5,100字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

人生と文学との関係を論じる。戦時下の激動する現実を背景に、単なる私小説的枠組みを超え、個々の作家が社会的な存在としての自覚を持ち、人生の複雑な実態を真摯に描くことの重要性を説く。作家が歴史的な感覚を保ちつつ、生活そのものと向き合い、自らを省察しながら対象を深く捉え直すことで、真に人々の切実な要求に応える文学の道を探求する。また、先行する作家の創作態度を例示しつつ、困難な時代においても人間としての真実を追求する意義を論じる。

宮本百合子

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🎧 人生の共感 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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今日、私たちが文学に求めているものは何であろう。求められている文学とは、どういうものだろう。

部分的ないろいろの要求というものは、いつもあったし、これからもずっと自分にもひとにも持たれつづけると思うが、特にきょう私たちが文学に求めている何かは、文学の本質にふれた何かであり、人生に向う心持の底の方にある何かの反映であるように思われる。日々に生きている感情のなかでジリッと何かが求められているのである。それが、あの作品、この作家への箇々の不満という風なものと直接結びつかず、云ってみれば、この人生とめっぱりこな気持のなかで求められている感じなのは面白いところであると思う。

多かれ少なかれ、今日の現実は人々の心に文学への要求としてそういうものを目醒めさせているのだろう。だから、室生犀星氏のような、ああいう意図的に小説の世界を小説の世界としてこしらえつづけて来ている作家が、作家生活の時期時期によって何処で所謂小説の鬼神をつかまえて見せるか、そのこともやまも知りきっているひとが、今日は小説らしい小説を書いていずに、現実にいきなりぶつかって行けというようなことを云っていられたりもするのだろう。

いろいろな作家によって、散文精神ということも云われている。だが、面白いところは、今日文学に求める何かを切実に感じて胸にもっている多くの人々は、いろいろの作家がいろいろの表現でそれぞれの探求を表現しているのをもちろん注意ふかく、敬意をももって見守ってはいるのであるが、しんのしんのところでは、漠然と、その道から来るものがあるだろうかという疑いを払いのけ切れずにいるところであると思う。

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