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TORENDIA

平田先生の翻訳

本文約1,400字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

国民文庫刊行会の「世界名作大観」の大部分を手掛けた平田禿木の膨大な翻訳事業について、その驚きと敬意を綴る。瀟洒で優しげな風貌の人物が、難解な英米文学の諸作を真摯に訳し上げた手腕に著者は感銘を受ける。日本人が英吉利文芸を軽視する風潮を指摘し、本邦における翻訳の価値を説くとともに、世間的な評価が低い現状を憂慮して、その仕事の正当な評価を願う心情を記す。

芥川龍之介

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🎧 平田先生の翻訳 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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国民文庫刊行会の「世界名作大観」の第一部の十六冊の――どうも少し長い。が、兎に角国民文庫刊行会の「世界名作大観」の第一部の十六冊の大部分は平田禿木先生の翻訳である。平田先生にはまだ一度しか御目にかかつたことはない。が、好男子で、もの優しくて、美しい声をしてゐて――要するに如何にも往年の「文学界」同人の一人らしい、甚だ瀟洒とした先生である。この瀟洒とした先生が国民文庫刊行会の「世界名作大観」の第一部の十六冊の大部分を翻訳したと言ふことは少くとも僕には神秘だつた。元来瀟洒としたなどと言ふ感じは精力を想はせるものではない。しかし平田先生の翻訳を見れば、デイケンズ、サツカレエ、ラム、メレデイス、ジエエムス、ハアデイイ、ワイルド、コンラツド等を網羅してゐる。僕は翻訳することは勿論唯一通り意味をとるのにさへ、これ等の中の或るものには、――たとへば「エゴイスト」(メレデイス)には辟易した。それをかかる瀟洒とした先生が何冊も翻訳したと言ふことは――平田先生には或は失礼かも知れない、けれども正直に白状すれば、確に僕は今更のやうに、人は見かけによらぬものだと思つた。

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