木の祭り
本文約1,400字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
野原にぽつんと立ち、美しい白い花を咲かせた木は、誰にも気づかれない寂しさを感じている。花の香りに誘われてやってきた蝶たちは、木のために祭りを開くことを決める。途中で出会ったほたるを仲間に加えた蝶たちは、木に集まり花の間を舞い踊る。やがて日が暮れ暗くなると、ほたるたちが花に灯るちょうちんのように光を放ち、昼とは異なる幻想的な夜の宴が繰り広げられる様子を描く。
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木に白い美しい花がいっぱいさきました。木は自分のすがたがこんなに美しくなったので、うれしくてたまりません。けれどだれひとり、「美しいなあ」とほめてくれるものがないのでつまらないと思いました。木はめったに人のとおらない緑の野原のまんなかにぽつんと立っていたのであります。
やわらかな風が木のすぐそばをとおって流れていきました。その風に木の花のにおいがふんわりのっていきました。においは小川をわたって麦畑をこえて、崖っぷちをすべりおりて流れていきました。そしてとうとうちょうちょうがたくさんいるじゃがいも畑まで、流れてきました。
「おや」とじゃがいもの葉の上にとまっていた一ぴきのちょうが鼻をうごかしていいました。「なんてよいにおいでしょう、ああうっとりしてしまう。」
「どこかで花がさいたのですね。」と、別の葉にとまっていたちょうがいいました。「きっと原っぱのまんなかのあの木に花がさいたのですよ。」
それからつぎつぎと、じゃがいも畑にいたちょうちょうは風にのってきたこころよいにおいに気がついて、「おや」「おや」といったのでありました。
ちょうちょうは花のにおいがとてもすきでしたので、こんなによいにおいがしてくるのに、それをうっちゃっておくわけにはまいりません。そこでちょうちょうたちはみんなでそうだんをして、木のところへやっていくことにきめました。そして木のためにみんなで祭りをしてあげようということになりました。
そこではねにもようのあるいちばん大きなちょうちょうを先にして、白いのや黄色いのや、かれた木の葉みたいなのや、小さな小さなしじみみたいなのや、いろいろなちょうちょうがにおいの流れてくる方へひらひらと飛んでいきました。崖っぷちをのぼって麦畑をこえて、小川をわたって飛んでいきました。
ところが中でいちばん小さかったしじみちょうははねがあまりつよくなかったので、小川のふちで休まなければなりませんでした。しじみちょうが小川のふちの水草の葉にとまってやすんでいますと、となりの葉のうらにみたことのない虫が一ぴきうつらうつらしていることに気がつきました。
「あなたはだあれ。」としじみちょうがききました。