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TORENDIA

心配

本文約1,000字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

駿河台と小川町の賑やかな通りを、田舎から出てきた耳が遠く足も不自由なじいやと共に歩く女性の様子を綴る。人通りや車が行き交う中、周囲の光景に見とれて立ちすくむじいやから目が離せず、買い物の最中も彼の安全を案じて落ち着かない。電車での移動中も含め、街中での不安と緊張の連続を余すところなく描写し、ようやく帰宅して安堵の息をつくまでの過程を描く。

宮本百合子

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🎧 心配 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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静な町から来た私には駿河台と小川町の通はあんまりにぎやかすぎた。駿河台で電車を下りるとすぐ一つの心配が持ち立った。それは自分のつれて居るじいやが田舎出だからと云う事であった。電車をおりるとすぐ彼は私とあべこべの方へ行ってらした。そうして私に袖を引っぱられて変な顔をして又私の後についた。電車の線路をよこぎる時に彼はあんまりあわてたので職人にぶつかって眼をあいてあるけとどなられて大きい目を一層大きくした。そして「東京の暮を田舎の者に見せてやりたいなあ」と大きな声で一人ごちて道のまんなかに突ったってちょうちんや幕のはなやかにかざってあるのを見まわして居る。人力が来た。リンをチリンチリンとならして走って来た。彼はつんぼだからきこえないのだろう、まだぼんやりと見まわして居る。私は大急で走けつけて彼の手を引っぱって人道の方に引き入れた。私はもうがっかりしてしまった。こんなじいやをつれて来てどうしてよかろうと。

私は尚心配がまして来た。今のようでは一人はなしてあるかせればきっと死んででもしまうだろうと。

それは耳は遠いし足はよく動かないしするし、見とれるとどこでもおかまいなしに立ちすくんでしまうから。

私は彼の鬼のように大きくそうしてかたい手をにがさないようにしっかりつかまえて又あるき出した。彼は今度はじゆうにあるけないからだまって私のあとをついて来る。私は歳暮大売出しと大きな門をつくった内の三省堂に本をかいによった。私はしかたがなくて彼の手をはなした。まさか本屋にまで手を引いて入れないから。本を見ている間に彼はもう唐物店の飾まどの前にすいつけられて居た。私は袖を引っぱって又手をつかまえた。こんどは同じ通りの中西屋に入って本をきいた。手をはなしたもんだから又彼はまわりどうろうのように一つところをぐるぐるまわりして居る。私はもう気が気ではない、まだたずねたい所はたくさんあったが心配でしょうがないからきりあげて巣鴨行の電車に乗った。

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