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TORENDIA

嫉みの話

本文約4,900字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

嫉妬という感情の変遷を論じる。かつては女固有のものと考えられていた嫉妬が男にも見られるようになった過程や、後妻の接近を阻むうわなりねたみなどの習慣を紐解く。また、宗教的観念が夫婦関係や離別の作法に与えた影響を考察し、平安朝以降の宮廷における火と水の系統の対立や、階級による結婚の形式について記述する。

折口信夫

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🎧 嫉みの話 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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憎しみは人間の根本的な感情とされているが、時代の推移とともに変わってきている。

次に、嫉妬について少し考えてみる。嫉妬も人間の根本的な感情で、わずかな時間では変わりもせぬし、地方や民族の間で変わりはせぬはずであるが、実は、日本人だけでは、すくなくとも変わってきているのである。これまでは、あまり心意現象にばかり拘泥していたから、習慣のほうへもっていって話そうと思う。

われわれが、嫉妬というものが男の間にもあると考えたのはごく近代のことで、女だけがもっているものと長く考えてきている。それが男にも延長されて、誰も不思議に思うておらぬ。しかしこれは、「へんねし」などの方言で表わされる。いこじな、片意地な、意地の悪い感情で、そこへ羨む心持がはいる。これは羨望、意地悪、頑固などの心持をもっている。へんねし、へんねちと表わされ、ねたみという語では表現されていなかったであろう。語は型だから、語によってその一つの内容へわれわれははいってゆくので、それを男のうえにも感じるのである。語というものの支配権は、たいしたものである。女のねたみについては、この間、柳田先生の話を引いたように、われわれ男女の間へ、他物を介在させまいとする感情である、ということは動くまい、と言うておいた。

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