本文へ移動
TORENDIA

神社合祀に関する意見

本文約32,700字 ・ 読了時間 約66分

あらすじ(AIが作成しました)

明治政府が推進した一町村一社を標準とする神社合祀令は、地方の神社の由緒や地域の信仰、民情を無視した強引な政策であると批判する。自治制の美名の下で、郡長や官公吏が住民を脅迫や詐誘を用いて請願書に調印させ、無理に基本財産を積ませる実態を告発する。著者は、合祀が伝統的な地域祭礼の廃止や古木の伐採による環境破壊、さらには民心の離散や神道の衰頽を招くと論じ、全国的な合祀政策の中止と、地域の歴史に根差した漸進的な神社維持を訴える。

南方熊楠

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 51

最初、明治三十九年十二月原内相が出せし合祀令は、一町村に一社を標準とせり。ただし地勢および祭祀理由において、特殊の事情あるもの、および特別の由緒書あるものにして維持確実なるものは合祀に及ばず、その特別の由緒とは左の五項なり。

(1)『延喜式』および『六国史』所載の社および創立年代これに準ずべきもの、(2)勅祭社、準勅祭社、(3)皇室の御崇敬ありし神社(行幸、御幸、奉幣、祈願、殿社造営、神封、神領、神宝等の寄進ありし類)、(4)武門、武将、国造、国司、藩主、領主の崇敬ありし社(奉幣、祈願、社殿造営、社領、神宝等の寄進ありし類)、(5)祭神、当該地方に功績また縁故ありし神社。

神社には必ず神職を置き、村社は年に百二十円以上、無格社は六十円以上の報酬を出さしむ。ただし兼務者に対しては、村社は六十円、無格社は三十円まで減ずるを得。また神社には基本財産積立法を設け、村社五百円以上、無格社二百円以上の現金、またこれに相当する財産を現有蓄積せしむ、とあり。つまり神職もなく、財産、社地も定まらざる廃社同前のもの、また一時流行、運命不定の淫祠、小祠の類を除き、その他在来の神社を確立せしめんと力めたるもののごとし。

南方熊楠の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本