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TORENDIA

置土産

本文約6,800字 ・ 読了時間 約14分

あらすじ(AIが作成しました)

海辺にある三角餅で知られる茶店には、働き者のお絹とお常という二人の娘がいる。ある夏の夜、常連の油売り・吉次は、軍夫として渡航し一旗揚げたいという密かな望みを抱えながら、お絹らに別れを告げ旅立つ。のちに吉次が戦地で病死した知らせが届き、彼は遺言として残した金を茶店の主人を通じてお絹に託す。お絹は受け取った金を吉次の供養のために使うよう主人に願い、亡き人を想い深い悲しみに包まれる。

国木田独歩

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🎧 置土産 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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餅は円形きが普通なるわざと三角にひねりて客の目を惹かんと企みしようなれど実は餡をつつむに手数のかからぬ工夫不思議にあたりて、三角餅の名いつしかその近在に広まり、この茶店の小さいに似合わぬ繁盛、しかし餅ばかりでは上戸が困るとの若連中の勧告もありて、何はなくとも地酒一杯飲めるようにせしはツイ近ごろの事なりと。

戸数五百に足らぬ一筋町の東の外れに石橋あり、それを渡れば商家でもなく百姓家でもない藁葺き屋根の左右両側に建ち並ぶこと一丁ばかり、そこに八幡宮ありて、その鳥居の前からが片側町、三角餅の茶店はこの外れにあるなり。前は青田、青田が尽きて塩浜、堤高くして海面こそ見えね、間近き沖には大島小島の趣も備わりて、まず眺望には乏しからぬ好地位を占むるがこの店繁盛の一理由なるべし。それに町の出口入り口なれば村の者にも町の者にも、旅の者にも一休息腰を下ろすに下ろしよく、ちょっと一ぷくが一杯となり、章魚の足を肴に一本倒せばそのまま横になりたく、置座の半分遠慮しながら窮屈そうに寝ころんで前後正体なき、ありうちの事ぞかし。

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