TRENDIA CLASSIC
植物医師
宮沢賢治
1 / 7
時 一九二〇年代
処 盛岡市郊外
人物 爾薩待 正 開業したての植物医師
ペンキ屋徒弟
農民 一
農民 二
農民 三
農民 四
農民 五
農民 六
幕あく。
粗末なバラック室、卓子二、一は顕微鏡を載せ一は客用、椅子二、爾薩待正 椅子に坐り心配そうに新聞を見て居る。立ってそわそわそこらを直したりする。
「今日はあ。」
「はぁい。」(爾薩待忙しく身づくろいする)
(ペンキ屋徒弟登場 看板を携える)
爾薩待「ああ、君か、出来たね。」 ペンキ屋(汗を拭きながら渡す)「あの、五円三十銭でございます。」 爾薩待「ああ、そうか。ずいぶん急がして済まなかったね。何せ今日から開業で、新聞にも広告したもんだからね。」 ペンキ屋「はあ、それでようございましょうか。」 爾薩待「ああ、いいとも、立派にできた。あのね、お金は月末まで待って呉れ給え。」 ペンキ屋「あのう、実はどちらさまにも現金に願ってございますので。」 爾薩待「いや、それはそうだろう。けれどもね、ぼくも茲でこうやって医者を開業してみれば、別に夜逃げをする訳でもないんだから、月末まで待ってくれたまえ。」 ペンキ屋「ええ、ですけれど、そう言いつかって来たんですから。」 爾薩待「まあ、いいさ。僕だって、とにかくこうやって病院をはじめれば、まあ、院長じゃないか。五円いくらぐらいきっと払うよ。そうしてくれ給え。」 ペンキ屋「だって、病院だって、人の病院でもないんでしょう。」 爾薩待「勿論さ。植物病院さ。いまはもう外国ならどこの町だって植物病院はあるさ。ここではぼくがはじめだけれど。」 ペンキ屋「だって現金でないと私帰って叱られますから。そんなら代金引替ということにねがいます。」 (すばやく看板を奪う)
宮沢賢治の他の作品
TRENDIA CLASSIC
ペンネンノルデ
はいまはいない
よ 太陽にでき
た黒い棘をとり
宮沢賢治
ペンネンノルデはいまはいないよ 太陽にできた黒い棘をとりに行ったよ
宮沢賢治 ・ 約2分
TRENDIA CLASSIC
青柳教諭を送る
宮沢賢治
青柳教諭を送る
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
〔青びかる天弧
のはてに〕
宮沢賢治
〔青びかる天弧のはてに〕
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
秋田街道
宮沢賢治
秋田街道
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
〔あくたうかべ
る朝の水〕
宮沢賢治
〔あくたうかべる朝の水〕
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
朝に就ての童話
的構図
宮沢賢治
朝に就ての童話的構図
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
あけがた
宮沢賢治
あけがた
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
ありときのこ
宮沢賢治
ありときのこ
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
或る農学生の日
誌
宮沢賢治
或る農学生の日誌
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
イギリス海岸
宮沢賢治
イギリス海岸
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
イギリス海岸
宮沢賢治
イギリス海岸
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
いてふの実
宮沢賢治
いてふの実
宮沢賢治