あるところに、ちいさい女の子がいました。その子はとてもきれいなかわいらしい子でしたけれども、貧乏だったので、夏のうちははだしであるかなければならず、冬はあつぼったい木のくつをはきました。ですから、その女の子のかわいらしい足の甲は、すっかり赤くなって、いかにもいじらしく見えました。
村のなかほどに、年よりのくつ屋のおかみさんが住んでいました。そのおかみさんはせっせと赤いらしゃの古切れをぬって、ちいさなくつを、一足こしらえてくれていました。このくつはずいぶんかっこうのわるいものでしたが、心のこもった品で、その女の子にやることになっていました。その女の子の名はカレンといいました。
カレンは、おっかさんのお葬式の日に、そのくつをもらって、はじめてそれをはいてみました。赤いくつは、たしかにおとむらいにはふさわしくないものでしたが、ほかに、くつといってなかったので、素足の上にそれをはいて、粗末な棺おけのうしろからついていきました。
そのとき、年とったかっぷくのいいお年よりの奥さまをのせた、古風な大馬車が、そこを通りかかりました。この奥さまは、むすめの様子をみると、かわいそうになって、
「よくめんどうをみてやりとうございます。どうか、この子を下さいませんか。」と、坊さんにこういってみました。
こんなことになったのも、赤いくつのおかげだと、カレンはおもいました。ところが、その奥さまは、これはひどいくつだといって、焼きすてさせてしまいました。そのかわりカレンは、小ざっぱりと、見ぐるしくない着物を着せられて、本を読んだり、物を縫ったりすることを教えられました。人びとは、カレンのことを、かわいらしい女の子だといいました。カレンの鏡は、
「あなたはかわいらしいどころではありません。ほんとうにお美しくっていらっしゃいます。」と、いいました。