TRENDIA CLASSIC

賤事業弁

北村透谷

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事業を賤しむといふ事は「文学界」が受けたる攻撃の一なり。而して此攻撃たるや、恐らく余が「人生相渉論」を誤読したるより起りたる者なるべしと思へば、爰に一言するの止むべからざるを信ずるなり。

余は先づ「事業」とは如何なる者なりやを問はざるべからず。次に文学は「事業」といふ標率を以て論ずべき者なりや否やを、問はざる可からず。

余は文学といふ女神は、寧ろ老嬢として終るも、俗界の神なる「事業」に嫁することを否むべしと言ひたり。その斯く言ひたるは、「事業」を以て文学を論ずる標率とするを難じたるものにして、事業其れ自身に就きて何とも云はざりしなり。然るに横鎗の人々は己れの事業を侵されしかの如く、頻りに此事に向つて鋒先を揃へて攻戦するは豈奇怪ならずや。

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