公開状
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あらすじ(AIが作成しました)
畑中良輔をはじめとする新劇協会に対し、経済的な困難を抱えつつ定期上演を実現した努力を認めながらも、宣伝不足や運営のあり方について率直な苦言を呈する。自身の才能と勇気を持つ舞台監督が、周囲の協力を得ながら芸術家としていかに広範な支持を築くべきかを論じる。かつてのアントワヌによる自由劇場の事例を引き合いに出し、ただ芸術性を信じて待つのではなく、積極的に周囲と手を携えて共鳴者を集める姿勢の重要性を説く。
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畑中さん。
日本に於ける新劇開拓者の一人、そのあなたを、先づかう呼ばして下さい。
僕は、新劇協会の為めに、こゝで一つの苦言を呈したいと思ひます。あなたの才能と、あなたの勇気とに信頼するものは、日本の新劇団、殊に好劇家を通じて、恐らく僕一人ではないと思ひます。あなたが、経済的苦境と闘ひつゝ、遂に、われわれが望んでゐた一つの劇団、現代劇定期上演の場所と人とを有する新劇団、その実現に到達されたことは、今日、最も劇界の注意を惹くべきことです。
それに、どうでせう、あの初日です。見物が僅か三十人余り。招待券の発送が遅れたといふ理由――いゝえ、それは理由にはなりません。世間が知らないのです。あなたは、五日間、毎日三十人の見物があればいゝと仰しやるかもわからない。来たくなければしようがない。然し、知らずにゐるんです。なぜでせう。勿論、宣伝が足らない。宣伝費ですか。そこですよ、あなたに云ふのは。
僕たちは黙つてゐろと仰しやるんですか。僕たちは、少しもお力になることは出来ないのですか。見渡したところ、あなたさへそのつもりにおなりになれば、どういふ方法かで新劇協会の後援者たることを、快く引受けてくれる人が、そしてその後援が精神的に、大きな力をあなたがたの仕事の上に与へるであらうやうな人が随分ありさうぢやありませんか。いくら世智辛い当世でも、いくら自分さへよければの時代でも、あなたの真摯な呼び声に、耳を塞ぐ人ばかりはゐないと思ひます。新聞の三行紹介、演芸欄の噂話、これだけで、あなたの手を握りに行くものはそれや僕ぐらゐなものかも知れません。