TRENDIA CLASSIC

新国劇の「屋上庭園」を観て

岸田國士

1 / 3

年末から旅行をしてゐたので、今日(十四日)見ました。

一体、作者が、ある俳優または劇団に、自分の作品の上演を許可し、時には依頼することもあるが、さういふ場合にその俳優の舞台を云為することは、礼儀上謹しむべきことであつて、ましてこれを公表することは私の趣味からいつても可嫌なことだが、いろ/\の場合に言つてゐるやうに、現在はある意味で新劇の啓蒙時代である。演劇の当事者は勿論、その研究者、さらに一般観衆すらも在来の芝居に対して新しく起つてくる運動に自覚的な眼を向けなければならないのですから、私は忌憚なく今度の沢田氏の舞台を見ての感想を述べませう。この感想は、決して一個の劇評家としての立場からでないことを断つておきます。言い換へれば、自分の作品を他人が演出した場合に、作者としては先づ考へなければならないことは、その演出者の立場といふことで、それさへはつきりすれば、おのづから、作者の気持ちもはつきりする訳です。

岸田國士の他の作品