TRENDIA CLASSIC

村で一番の栗の木(五場)

岸田國士

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亮太郎

あや子

その他無言の人物数人

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第一場

山間の小駅――待合室

真夏の払暁。

発車の直後といふ気配。

二三の旅客に交つて、都会のものらしい夫婦連れが、改札口の方から現れる。一隅を選んでそこに手荷物を置き、汗を拭ひ、左右を顧み、やがて、女が先に、男がそれに続いて腰を下ろす。

他の旅客は、待合室を通り過ぎるだけである。

男は出来合ひらしい白の洋服、女は現代風のかなり整つた身じまひ。――手荷物は、服装の割に野暮な信玄袋と行李鞄、それに、中型のシューツケース。

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