TRENDIA CLASSIC

百三十二番地の貸家

岸田國士

1 / 16

人物

宍戸第三

毛谷啓

同京子

目羅冥

同宮子

甲斐加代子

婦人

[#改ページ]

第一場

東京近郊の住宅地――かの三間か四間ぐらゐの、棟の低い瓦家――「貸家」と肉太に書いた紙札が、形ばかりの門柱を隔てて、玄関の戸に麗々しく貼つてある。四月上旬の午後。

その門の前で、立ち止つた夫婦連れ、結婚一二年、今に今にと思ひながら、知らず識らず生活にひしがれて行く無産知識階級の男女である。

岸田國士の他の作品