TRENDIA CLASSIC

落葉日記(三場)

岸田國士

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東京の近郊――

雑木林を背にしたヴイラのテラス

老婦人

アンリエツト

秋の午後――

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長椅子が二つ、その一方に老婦人、もう一方に青年が倚りかかつてゐる。それが毎日の習慣になつてでもゐるらしく、二人とも、極めて自然に、ゆつたりとした落ちつきを見せて、静かに読書をしてゐる。

老婦人は、純日本式の不断着、ただ、肩から無造作に投げかけた毛皮の襟巻が、さほど不調和に見えないほどの身ごしらへ、身ごなし。

青年は軽快な散歩服。無帽。

収  (書物が手から滑り落ちるのを拾はうともしないで)少し歩きませう。 老婦人  (書物から目をはなさずに)もうあと二三枚……。 収  (起ち上り、黙つて相手が読み終るのを待つ。が、なかなか済みさうもないので、また腰をおろす) 老婦人  (目をあげずに)静かになさいよ。 収  (漠然と)静かにしてゐます。

長い沈黙。

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