あるニュウ・フェイスへの手紙
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あらすじ(AIが作成しました)
映画撮影所に入り、将来に不安を抱えるある新人女優に対し、俳優としての心構えを説く。著者は自身の演劇経験をもとに、映画と舞台の演技の質に関する見解を述べ、表面的な人気や外見に頼ることの危険性を指摘する。努力と教養の重要性を強調し、名女優レジャンヌ夫人の例を挙げながら、真に人を感動させる魅力ある存在を目指すべきだと諭す、俳優志望者に向けたアドバイスの記録である。
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昭和二十五年秋、いわゆる「演劇の立体化運動」のために文壇、劇壇の有志数十名により「雲の会」が作られ、その活動の一つとして翌年五月、月刊雑誌「演劇」が創刊された。本稿は、その創刊号から九カ月に亘って連載され、俳優ならびにそれを志す人々のために、個々の具体的な問題について、著者の思いつくままに筆を進めたもので、問題はこれで尽きたわけではないが、二十七年一月同誌の廃刊により、ひとまずこれだけにとどめて発表することとした。
1 舞台俳優と映画俳優
F・T嬢へ
今度M撮影所へおはいりになったそうで、まずまずおめでとう。千人からの受験者のうち、五人だけ採用されたというのだから、まことに幸運と申さなければなりますまい。それにしても、あなたが審査員たちの眼にそんなに光った存在として映ったということは、たぶんあなたが俳優として恵まれた素質をもっていられるためと思いますが、しかし、それだけではまだ将来が決定されたとは言えない。これからがたいへんです。そして、そのことを誰よりも強く感じておられればこそ、あなたは、この僕に、さしあたって助言を求められたのだと思います。
予めお断りしておきますが、僕は、演劇についてはまあ専門家と自称してもいいでしょうが、映画のことに関しては、ことに映画プロパァの問題に関してはまったく素人です。僕の小説がこれまで一、二度映画化されたということは、決して映画にタッチしたことにはなりませんし、多少映画を研究的に観ているという程度では、その領域についていっぱし発言の資格があるかどうかもわからないのです。ただ、あなたも多分、それをご承知のうえであろうと思うが、僕は演劇について言えることが、屡々、それも現代の日本では特に屡々、映画についても言えるという信念をもっています。二、三の優秀な映画人についてそのことを確かめ得る機会もありました。
幸いにして、あなたのご質問が、映画俳優として立つ上に、舞台の修練と経験とが必要ではなかろうかという点から始まっている。