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TORENDIA

「時・処・人」まへがき

本文約320字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

随筆というより雑文集であると断りながら、緊迫した時代のなかで綴られた文章に漂う十八世紀的な匂いを、著者自身が振り返る岸田國士のまえがき。

岸田國士

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🎧 「時・処・人」まへがき / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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これは随筆集といふよりも、寧ろ雑文集である。私はこの十年間、ほとんど随筆的心境といへるやうな心境を味つたことはなかつた。もとより文人墨客趣味などはないところへもつて来て、時代が時代と来てゐるので、周囲を見る眼が絶えず血走りがちである。たまたま随筆風な題を与へられても、すぐに、それにからんで日頃の鬱憤を晴らさうといふ気になる。誠にわれながら大人げない次第だと思ふ。

いくぶん調子を和らげるために、一度前の選集に入れたものを少し加へてみたが、それでも、全体を纏めて読み返してみると、一種十八世紀的臭味が鼻をつくのである。これはどうもしかたがない。せめてそこを面白いとしてくれるものが今の世の中にあれば、それだけで私は本望なのである。

一九三六年十月著者

完

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