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TORENDIA

あひるさん の くつ

本文約770字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

靴屋を始めたきりぎりすのもとへ、おしゃれなあひるが靴の注文に訪れる。きりぎりすは寝る間も惜しんで靴を完成させるが、あひるはその出来栄えを拒絶し、店主を困惑させる。それから三年後、運転技術が未熟なため自動車で店に突っ込んでしまったあひるは、埃にまみれて埋もれていた自身の注文品を再び目にする。本作は、再会した両者のやり取りと、後から事実に気づくきりぎりすの姿を通して、靴を巡る一風変わった交流を描く。

村山籌子

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🎧 あひるさん の くつ / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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ある時、きりぎりすさんが、靴屋さんをはじめることになりました。

「どんな形の靴でもおのぞみしだいにつくります。」といふ看板を見てやつてきたのが、あひるさんです。

きりぎりすさんはあひるさんの足をはかつて、夜もねないで靴を一足こしらへて、あひるさんのところに持つてゆきました。

あひるさんは大変おしやれでしたから、自分の足の恰好のことは棚へあげて、きりぎりすさんのこしらへてきた靴を一目見ていひました。

「まあ、こんな変な恰好の靴は牛さんにでも買つてもらふがいゝ。」きりぎりすさんは大変こまりましたけれども仕方がありません。しほ/\とその靴を持つてかへりました。そして、それをお店へならべておきましたが、あんまり不恰好なものですから、だれも買つてくれません。おしまひには、そのうへへ埃がつもりつもつて、たう/\どこに靴があるのやらわからなくなりました。

×      ×      ×

それから、三年ばかりたつたある晩に、あひるさんが自動車にのつて、きりぎりすさんの店のまへをとほりかゝりました。あひるさんは自働車の運転手になつたばかりでしたから、あんまり上手に自働車を動かすことができません。あつ、とおもふ間に、きりぎりすさんの店の中へ自動車がはいつてしまひました。そしてその拍子に埃の中にうづまつてゐた靴が飛びだしました。この物音で、きりぎりすさんが出てきました。そしていひました。

「この靴がお入用ですか。」あひるさんは、仕方なくまうしました。

「さうです。これを下さい。」

「ほんとに、丁度よくあなたの足にあひさうです。」ときりぎりすがいひました。あひるさんは顔を赤くしました。きりぎりすさんは、三年間ごろ/\してゐた靴がうれたので、どんなにうれしかつたでせう。けれども、その靴を、初めに注文したのが、このあひるさんだつたといふことに気がついたのはそれから一週間あとのことでした。

完

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