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TORENDIA

岩を小くする

本文約2,900字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

吉野川の上流で鷹狩を見た寛成の皇子さまは、岸辺の大きな岩と松を所望する。困り果てた家来たちは、小さな岩に松の枝を縛り付け、山伏の呪文で岩が小さくなったという作り話を仕立てて献上する。皇子さまは家来たちの嘘をすぐに見抜くが、あえてその奇抜な言い訳を楽しみ、山伏を呼び戻して嘘をもっと小さくさせるという機知に富んだ言葉を返し、幼少期から高い賢明さを示した。

沖野岩三郎

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🎧 岩を小くする / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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後村上天皇さまの皇子さまに、寛成さまと申すお方がございました。

まだ、ごく御幼少の時、皇子さまは、多勢の家来たちと、御一しよに、吉野川の上流、なつみの川岸へ、鷹狩を御覧においでになりました。

川岸には、大きな岩があつて、その上に、松の木が一本、枝ぶり美しく、生えてゐました。

寛成の皇子さまは、それが大へん、お気に入つたとみえ、おそばにゐた、中将河野実為に、

「帰るとき、あの岩と松とを、御所のお庭へ、持つて行つて下さい。陛下に献上したいから。」と、仰せになりました。

岩といつても、大きな岩で、どれだけの重さだか、わかりません。けれども、まだお小い、皇子さまのことですから、鷹狩を、御覧になつてゐるうちに、その岩のことは、お忘れになられるだらう、と、思ひましたので、中将は、

「よろしうございます、帰りには、きつと、持つてまゐりませう。」と、善い加減なお返事をいたしておきました。

やがて、鷹狩もすんで、みんな、御所の方へ、お帰りになりました。

途中で寛成の皇子さまは、

「あ、あの岩を、忘れて来たではないか。」と、申されました。すると、そばに居た、忠行の侍従は、

「あの岩は、なかなか、重うございますから、私ひとりの力では、とても、持つてまゐる事は出来ませんが、民部大輔は、大変な、力もちでございますから、あとから、持つてまゐりませう。」と、申し上げました。そして、岩と松の事は、お忘れになるやうに、いろいろ、面白いお話をいたしましたが、皇子さまは、御所へお帰りになると直ぐ、河野中将を、およびになつて、

「まだ。あの岩と松は、持つて来ないのか。」との、お尋ねでございました。中将も、困りましたので、

「岩のことは、忠行の侍従に、よく言ひつけて置きましたから、おきき下さいまし。」と、申し上げますと、皇子さまは、

「では、すぐ忠行に、ここへ来いと言つて下さい。」と、申されました。で、致方なしに、忠行を呼んでまゐりますと、

「あの岩は、どうした。早く持つて来ないか。岩には、松が生えてゐた筈だ。」と、仰せになりましたので、忠行の侍従も、困つてしまひ、

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