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TORENDIA

役人の頭

本文約20,900字 ・ 読了時間 約42分

あらすじ(AIが作成しました)

税関の役人が名画ボッティチェリの「春」をわいせつ物として没収した事件を契機に、法治主義と官僚主義の関係を論じる。国家の代弁者である役人が、法律の世界に固執して人間としての良心や常識を失い、上官の命令を形式的に遂行する実態を批判する。著者は、役人が「人間の世界」の感覚を取り戻し、良心に基づいて判断することこそが、法治主義が正しく機能し、国家が永く安泰であるための唯一の道であると説く。

末弘厳太郎

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「法治主義」の研究は、現代の国家および法律を研究せんとする者にとって、きわめて大切である。私がそのことをいろいろと考えていた際、たまたま東京日日新聞社から何か書けという依頼を受けて、ふと筆をとったのがそもそも本稿の出来上った由来であって、内容は主として法治国と官僚主義との関係を取り扱ったものである。書いた時期は大正一一年の六月下旬である。

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一

子供の時からのくせで新聞を読むことが変に好きです。外国にいたときなど、むろん語学のまずいためでもあるが、どうかすると半日ぐらい新聞読みに時を費やしたことがあります。かつて高等学校にいたとき、ドイツ語の教科書としてヒルティーという人の『幸福論』なる本を読まされたことがあります。その中に新聞を読んではいけない、ことに朝一番頭のいいときに新聞のような雑駁なかつ平易なものを読むと一日中の仕事欲を害する、ということが書いてありました。非常に感心して同室者一同――私の部屋には変に頑強な男がそろっていたのですが――と申し合わせて、なんでも半年ぐらい新聞の購読を中止したことがありました。それでも新聞を読むことの好きな私にはどうもがまんができないので、そっと図書館で読んでいるところを同室者にみつかってひどくおこられたことなどがありました。そんなことを思い出してみると、私の新聞好きもずいぶん古いものです。

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