馬車の歌
本文約3,700字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
食糧品店への買い出しを終えた「僕」たちは、大学生のHとT、居酒屋の娘メイ子と村への帰路についていた。町で偶然、質に入れたままの楽器類を発見し買い戻すなど、道中での奇妙な出来事や友人たちとの合流を経て、一行は馬車に乗り込む。市場で収穫のなかった馬車の御者や村の仲間たちが次々と加わり、酒と歌で騒ぎ立てながら月明かりの下、村を目指して堤をゆく夜の道中を描く。
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佗しい村住ひの僕等が、ある日、隣り町の食糧品店に急用が出来て、半日がかりで様々な切端詰つた用事を済せた後に、漸く村を指して引きあげることになつた夕暮時の途すがらであつた。同行は、いつものやうに僕等と一緒に生活を共にしてゐる大学生のHとTと僕の細君と、そして村にあるたつた一軒の僕等がマメイドと称び慣れてゐる居酒屋の娘であるメイ子等であつた。
僕等は各自に食糧品で充たされたリユツク・サツクを背にしてゐた。そして、果物の袋をぶらさげてゐる者もあつた。野菜の束を抱へてゐる者もあつた。HとTは太いステツキにギヤソリンの小鑵をとほして二人で両端をになつてゐた。――登山隊にしては、いでたちがあまりにだらしがない、奇妙な道連れであつた。
「市場帰りの馬車が、もう来る時分なんだがな……」
「さう云へば、水車小屋の親父も――あの遊び好きの親父も、いよ/\奥方の鞭が酷しくなつて四五日前からさかんに水車を廻しはじめてゐたと思つたら、今朝、とても威気揚々たる姿で、馬車に荷物を満載して町へ出掛けて行つたよ――おい、今夜は俺がお大尽になつて威張りたいから俺が帰るのをマメイドで、飯を喰はずに待つてゐて呉れよ! なんて高言しながら――」
「彼の大尽風がマメイドまで保てば、まことにお目出度い話だが――もう間もなく、空馬車に載つかつて、ぼんやり木兎のやうな眼をして帰つて来るだらうよ。酷え目に遇つた/\! などと呟きながら――」
「親父は何うでも好いから、あの空馬車が恋しいよ。あれなら俺達五人がいち時に楽々と乗り込めるからね。」
僕等は勝手なことを云ひながら町端れの松並木の堤で休息してゐた。
「おい/\、見失つてはいけないぞ、大分薄暗くなつて来たからな。」
「大丈夫だとも――此堤の上のお関所に我ん張つてゐれば、犬ころだつて素通りはさせやしないから……」
すると、向ふ側の、片側通りになつてゐる街の雑貨屋で何か用足しをしてゐた細君の傍にゐるメイ子が、
「ちよつと来て下さいな。」
と頓興な声を挙げて僕達をさしまねいた。その音声が何となく、たゞならぬ様子だつたから僕等は荷物を其処に置き放しにして置いて、
「何だ、何だ?」
「何うしたのだ?」