レンズに現われた女の姿
本文約540字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
保土ヶ谷の僧侶が写真を撮影しようと試みるが、複数の写真屋で次々と機械の故障を理由に断られる。不審に思った僧侶が理由を問い質すと、レンズ越しにその背後に女の顔が見えるという驚くべき事実が告げられる。警察立会いのもと撮影された写真には、髪を振り乱した女が僧侶の頭上に坐る姿が写り込んでいた。亡き妻との約束を巡る怪異の真相を、筆者が先妻の遺言と関連付けて綴る実話怪談。
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保土ヶ谷の某寺の僧侶が写真を撮る必要があって、横浜へ往って写真屋へ入り、レンズの前へ立っていると、写真師は機械に故障が出来たからと云って撮影を中止した。
僧侶はしかたなしに次の写真屋へ往って、レンズの前へ立ってたところで、どうした事かその写真師も、レンズに故障が出来たと云って中止した。僧侶はよく故障が出来るものだが、どうした事だと独言を云いながら、又次の写真屋へ往った。そして、又レンズの前へ立ったところで、又機械に故障が出来たと云って謝絶られた。僧侶は業をにやして、
「何故そんなに、機械に故障が起るのだ」
と云って詰問すると、写真師は、
「あなたは、こうしてみると一人だが、黒い布を被ってみると、後へ女の顔が出て来る」
と云った。そこで交渉の結果、警官を呼んで来て、警官の手で撮影してもらい、出来あがったところを見ると、僧侶の頭の上へ髪を振り乱した女が坐っていた。警察では奇怪至極とあって内務省へ報告した。その報告書は内務省に現存して、浅野正恭翁も一読したと云って、筆者は浅野翁からそれを聞かされた。そして、写真に現われた女は、その僧侶の先妻であったが、その先妻が病気で歿くなる時、後妻をもらってくれるなと遺言したが、僧侶がそれを守らなかったので、その怪異が起ったものであった。
完