TRENDIA CLASSIC

沢氏の二人娘

岸田國士

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沢 一寿

悦子  その長女

愛子  その次女

奥井らく  家政婦

桃枝  その子

神谷則武  輸入商

田所理吉  船員、悦子等の亡兄の友人

東京――昭和年代

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某カトリツク療養院の事務長、元副領事、沢一寿(五十五歳)の住居。郊外の安手な木造洋館で、舞台は白ペンキ塗のバルコニイを前にした、八畳の応接間兼食堂。

古ぼけた、しかし落つきのある家具。壁には風景画と、皿と、それらの中に、不調和にも一枚の女の写真が額にしてかけてある。三十五六の淋しい目立たない顔である。丸髷に結つてゐる。飾棚には、細々した洋風の置物。記念品らしい白大理石の置時計。バルコニイの手摺に色の褪せた副領事の礼服が干してある。

十月の午後。

家政婦奥井らく(三十八歳)が、卓子の上で通帳を調べてゐる。

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