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TORENDIA

少年に文化を嗣ぐこゝろを

本文約540字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

大塚金之助博士が少年の頃、図書館で館員から手渡された一冊の分厚い本が、後の人生に与えた深い影響を綴る。その手に受けた重みが世界の文化遺産を象徴し、博士の精神を形成した過程を通して、少年期の読書が民族の文化継承に果たす重大な役割を論じる。また、岩波書店による少年の文庫への取り組みに対し、次世代が同様の感銘を受け、学界を担う存在へと成長することへの期待を表明する。

中井正一

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🎧 少年に文化を嗣ぐこゝろを / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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大塚金之助博士に或雜誌記者が、博士の一生に最も感銘深かった記憶は何でございますかとたずねた。

博士は次の樣に答えられたそうである。

博士の少年の頃、圖書館へ行って、本を要求したとき、館員が、部厚い本を持ち出して來て、未だ少年の博士に、その本を差出したそうである。

そのずっしり重い本を受取ったときの深い感激は、今、尚博士の胸の中に殘っているとの事である。これが、博士一生を通じての最も感銘深い瞬間であった。

博士が、その受けられた手の重みの中には、世界の文化遺産の重みが、同時に音もなく、博士の全身にかゝってゆくところのものがあったに違いない。

文化を嗣ぐこゝろが、この本を通して、博士の一生を支配するまでに、深い影響をあたえ、常に記憶の中に、博士はその重みを掌の中に感じつゞけられているかも知れない。博士が、今、日本文化史の中に持たれている位置を思いあわせて、少年の日の讀書が、いかに、民族の文化に重大な關連をもつかを、しみじみと感ぜしめるのである。

岩波書店が、本腰を入れて、少年の文庫に力を傾けられることは、まことに私のよろこびとするところである。數限りない少年が、世界の文化を嗣いだ博士の感銘をくりかえし、博士の跡を追って、日本の學界に伸上ってくる日を、私は、樂しく期待するものである。

完

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