TRENDIA CLASSIC
人形物語
竹久夢二
1 / 1
1
あるちいさな女の児と、大きな人形とが、ある日お花さんのおうちをたずねました。
ところが その女の児は、それはもうほんとに、ちいさな女の児で、その人形はまた、それはそれはすばらしい大きな人形だったのです。
それゆえ、お取次に出た女中には、人形だけしか眼に入らなかったのです。女中はおどろいてお花さんに、
「まあお嬢さま! 大きなお人形さんがお嬢さまに逢いにいらっしゃいましたよ」と言いました。
2
「玉ちゃん」茶の間で、お母様の声がする。
「はあ」と愛想よく玉ちゃんは答えました。
「後生ですから、そこから鋏をもってきて頂戴な、ね」こんどはだまっていましたが、いそいでそこにあった人形を抱きあげて、
「あたし、いま、人形におっぱいあげていますの……」と言いました。暫くすると可愛い子守唄がきこえて来ました。
ねんねしなされまだ日はたかい。
暮れりゃお寺の鐘がなある。
3
お冬さんの人形は病気でした。
ちいさなお医者様は、大きな時計を出して、人形の脈をとりながら「ははあ」と小首をかたげました。
お冬さんは、心もとなさに、
「先生、いかがでございましょう」
とたずねました。先生は手を拭きながら、
「なあに、ちょっとした風邪ですから御心配には及びません。お子様方は夜おやすみの時、おなかを出さないように気をつけて下さい」
と言いました。
竹久夢二の他の作品
TRENDIA CLASSIC
大きな蝙蝠傘
竹久夢二
大きな蝙蝠傘
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
ある眼
竹久夢二
ある眼
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
朝
竹久夢二
朝
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
おさなき灯台守
竹久夢二
おさなき灯台守
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
玩具の汽缶車
竹久夢二
玩具の汽缶車
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
クリスマスの贈
物
竹久夢二
クリスマスの贈物
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
風
竹久夢二
風
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
コドモノスケッ
チ帖
竹久夢二
コドモノスケッチ帖
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
最初の悲哀
竹久夢二
最初の悲哀
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
桜さく島
竹久夢二
桜さく島
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
桜さく島
竹久夢二
桜さく島
竹久夢二
TRENDIA CLASSIC
大きな手
竹久夢二
大きな手
竹久夢二