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TORENDIA

農本主義と土民思想

本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

農本主義が唱えられる社会背景において、提唱者が二十年来説いてきた土民生活の思想と、流行の農本思想との相違点を三つの観点から論じる。治者や搾取者側からの温情主義に基づく農本思想に対し、支配に抵抗する被治者の土着思想としての土民概念を提示し、有機的な産業の土着化や、階級打破に向けた闘争の必要性を説く。本書は既存の体制への批判を通じ、農民のみならず労働者を含む土着民衆による自由と平等の実現を論考する。

石川三四郎

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🎧 農本主義と土民思想 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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此ごろ農本主義といふものが唱へられる。二十年来、土に還れと説いて来た私にとつては、とても嬉しい傾向に感じられる。たゞ『哲人カアペンタア』を書いて以来、私の考へ且つ実践して来た土民生活の思想と、今日流行の農法主義とは、些か相違するところがあるから、それを極めて簡略に説明して置きたい。

私は先づこの両思想の相違点を大体三点に分けて見る。第一に、農本思想は治者、搾取者の側から愛撫的に見た「農は天下の大本なり」といふ原則から出たものであるが、土民思想は歴史上に現はれた「土民起る」といふ憎悪侮蔑的の言語から採つたものである。第二に、農本思想は農民を機械的に組織して他の工業及び交換の重要事業との有機的自治組織を考へないが、土民生活に於ては一切の産業が土着するが故に農工業や交換業が或は分業的に或は交替的に行はれて鞏固な有機生活が実現される。第三に、農本思想は階級制度下に無闘争の発展を遂げようとする百年前のユトピヤ社会主義者と同一系統に属するものであるが、「土民」思想は其名それ自身が示す如く階級打破の闘争無しには進展し得ない性質を持つてゐる。

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