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TORENDIA

農民自治の理論と実際

本文約13,100字 ・ 読了時間 約27分

あらすじ(AIが作成しました)

農民自治の理論と実際は、支配制度や政治制度の不条理を批判し、土着生活に基づく自治の重要性を論じる。自然界における蟻や蜂の社会を例に挙げ、相互扶助的な共生こそが本来の姿であると説く。さらに、歴史上の事例を引いて土着精神の衰退が国家の危機を招くことを指摘し、個性を尊重した郷土精神の発展が、真の国粋主義や世界主義へとつながる展望を提示する。

石川三四郎

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一

私の今から申し上げやうとすることは政談演説や労働運動の講演会といふ様なものではなくて、ごくじみな話であります。初に農民自治の理論を話して、次にその実際を話したいと思ひます。

理論としては第一に自治といふことの意義、第二に支配制度、政治制度の不条理なこと、第三に土地と人類との関係、即ち自治は結局は土着生活であること、土着のない自治制度はないこと、土民生活こそ農民自治の生活であることを述べたいと思つてをります。実際としてはこの理論の実行方法とそれへの歩みを述べるために、第一社会的方法、第二個人的方法に分けてお話いたします。

二

地上の全生物は自治してをります。単に動物だけではなく植物もみな自治生活を営んで居ります。

蟻は何万、何十万といふ程多数のものが自治協同の生活をしてをります。蟻の中には諸君も御存知のやうに戦争をするのもありますが、それでも自分たちの仲間の間では相互扶助的な美くしい生活をしてをります。春から夏へかけて一生懸命に働いて沢山の食糧を集め、冬越の用意をいたします。土の下に倉庫を造り、科学的方法で貯へて、必要に応じてそれを使ひます。お互の間には礼儀もあり規律もあり、その社会制度は立派なものであります。しかし他部落の者が襲撃して来た時などには勇敢に戦争をいたします。私はその戦争をみたことがあります。

丁度フランスにゐた時のことであります。

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