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TORENDIA

盆踊り

本文約3,200字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

住吉神社の祇園祭とそれに続く盆踊りの記憶を綴る。七日間続く祭では、町中の家が紙の花を飾って賑わい、近在の人々も集まる。その後行われる盆踊りには、女装や男装で顔を隠した踊り手たちが繰り出し、見物人とのやり取りが活気を生む。作者は、伝統的な衣装をまとい、優美な舞を見せる老人たちの姿に深い感銘を受けており、民藝品のようにこの美しい情景が失われずに継承されることを願っている。

田畑修一郎

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🎧 盆踊り / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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東京に住んで十一年になるが、ずつと郊外だつたから私は東京の夏祭がどんなものかまるで知らない。私には東京の夏は暑くて殺風景だ。ごくまれに、手拭と黒褌とを入れた袋をぶら下げて神宮のプールに出かけ、歸りに新宿の不二屋あたりで濃い熱い珈琲をのんだり、冷房裝置のある映畫館へ涼みがてら出かけたりするのが、東京の夏の樂しみといへば樂しみだつた。

しかし、殺風景に感ずるのは私が田舍育ちだからで、東京生れの人にはもつと身についた微妙な樂しみがあるのだらう。私は生れ故郷と殆ど縁がなくなつた今でも、漠然と田舍の夏を豐富なものに感ずるのは、子供の時からそこに馴染んで來たからにちがひあるまい。

市内に住んでゐたこともなくはないが、學生時分のことで、夏休になるとさつさと田舍へ歸つて行つたから、東京の夏祭を知らないのも無理はない。私の田舍では、住吉神社といふ郷社の祭を「祇園さま」と呼んでゐた。まる一週間だから、隨分永い祭だつた。町の本通りを上から下まで十四五町か、或ひはもつと長いだらう、家ごとに柳の枝に薄い日本紙を四角に切つて造つた花をくつゝけ、樽だの桶だのゝ中に立てゝ家の前に飾つた。それには皆盆灯をつけたから、夜になると白い紙の花が明りを受けて浮き立ち、どこまでもつゞいた。

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