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TORENDIA

幕末維新懐古談

本文約6,000字 ・ 読了時間 約13分

あらすじ(AIが作成しました)

明治時代の東京彫工界において、技術と美学を重んじる先生派の職人たちが、強権的な組合結成を目論む谷中派との対立を経て、業界の発展と後進育成を目的とする東京彫工会を設立するまでの過程を綴る。ある人名録制作の機会を機に、組合側の不正な実態を明らかにして対抗した一派は、旭玉山らを中心に結束し、美術界の先覚者たちの助言を得て、会則や運営体制を整えながら組織を立ち上げていく様子を描く。

高村光雲

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🎧 幕末維新懐古談 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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この頃になって一時に種々の事が一緒に起って来るので、どの話をしてよろしいか自分ながら選択に苦しみますが、先に日本美術協会の話をしたから、引き続き、ついでに東京彫工会のことについて話します。

東京彫工会というものの出来たのは、妙なことが動機となって出来たのであります(ちょっと断わって置きますが、その当時の彫刻家は全部牙彫という有様であった)。その彫刻界に一つの刺撃が与えられそれが導火線となってこの会が起ったのであります。一方に既に美術協会が成立し、それがますます盛大になっているのであるから、この際別に彫工会というような会の起る必要を感じない訳であるが、それが出来なければならない機運となって来ました。この彫工会発会のことについては私は木彫家のことで関係は薄い。私が当面に立って立ち働いたという訳でもないのであるが、当時の牙彫界には友人の多い関係から多少助力をしたことであるからその行きさつを話して置きます。

この事は、最初は象牙彫刻の方の人たちのいさかいから初まる……というもおかしな話ですが、まずそういった形であった。

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