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TORENDIA

雪子さんの泥棒よけ

本文約850字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

夜中の雨戸で響く不審な物音に目覚めた雪子は、外から侵入を試みる泥棒の気配を察知する。両親が眠る中、雪子は玩具のバケツを機転を利かせて雨戸や壁に押し当て、侵入を防ぐ工夫をする。金属のような硬い音に翻弄された泥棒は、家中が金で張られていると勘違いし、動揺して壁を切り抜く。その様子を静かに見守っていた両親と共に雪子が声を上げて笑うと、泥棒は驚いて逃げ出し、外で見張っていた巡査の手に落ちる。

夢野久作

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🎧 雪子さんの泥棒よけ / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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夜中に雨戸のところでゴリゴリと音が始まりました。家中で雪子さんがたった一人眼をさまして、何だろうと思いました。鼠ではなく、どうしても人間が何かしているとしか思われませんでした。雪子さんは急いでお父さんとお母さんをゆすり起しましたが、なかなかお起きになりません。そのうちにゴリゴリと物を削る音が一そう高くなったようです。雪子さんはどうしようかと思いました。

音のするところへ行って見ると、雨戸の掛金のところを外から泥棒が切り破っているのです。雪子さんがそこらを見まわしますと、玩具のバケツがありましたから、そっとそこへ押し当てました。

そのうちに泥棒が雨戸を切り破って来ると、何か固いものがあります。小刀で突いて見るとカンカン音がします。雪子さんはおかしくなりました。

泥棒がどこかへ行ったと思ったら、今度は台所の方へ音が廻りました。雪子さんは又、そこへジッと押し当てて待っていました。泥棒は又カンカンと言う物に行き当りました。

「馬鹿に用心のいい家だナ。まさか家中、金で張ったるんじゃあんめえ」

と言いながら、今度はお座敷の床の間の壁のまん中をゴリゴリ始めました。

この時、お父さんとお母さんは眼をさまして御覧になると、雪子さんは寝床の中にいません。そして床の間を見ると、玩具のバケツを壁に押し当てています。外からはゴリゴリと壁を破る音……。

お父さんとお母さんは、初めはビックリしましたが、すぐに訳がわかり、雪子さんの勇気に大そう感心しました。なおも様子をジッと見ていますと、泥棒はとうとう厚い壁を切り抜いて、もういいと思って小刀の先で突いて見ると、どうでしょう。壁のまん中でもやはりカンカンカンと音がします。泥棒は腰を抜かさんばかりに驚きました。そしてため息をして言いました。

「これは驚いた。家中すっかり金張りだ」

家の中で、雪子さんとお父さんとお母さんとが一どきに笑い出しました。

「アハハハハハハ」

「オホホホホホホ」

「ウフフフフフフ」

泥棒は夢中になって逃げ出すと、すぐに通りがかりの巡査さんに捕まりました。

完

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