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TORENDIA

豚吉とヒョロ子

本文約54,900字 ・ 読了時間 約110分

あらすじ(AIが作成しました)

並外れて太った豚吉と、非常に痩せて背の高いヒョロ子。周囲から珍奇な見世物扱いを受ける二人は、結婚の宴を前に村から逃げ出す。自分たちの身体を普通にしたいと願う二人は、道中で出会った無茶先生という人物の奇妙な力に導かれ、都を目指して旅をする。異形の身体に苦しむ二人の逃避行と、その先で待ち受ける不思議な運命を描く物語。

夢野久作

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豚吉は背の高さが当り前の半分位しかないのに、その肥り方はまた普通の人の二倍の上もあるので、村の人がみんなで豚吉という名をつけたのです。又、ヒョロ子も同じ村に生れた娘でしたが、背丈けが当り前の人の倍もあるのに、身体はステッキのように細くて瘠せていましたので、こんな名前を付けられたのです。

村の人はこの二人を珍らしがってヤイヤイ騒ぎますので、二人は外へ出ることも出来ません。そのうちに二人とも立派な大人になりました。

ある時、村の人たちの寄り合がありましたが、その時に誰か一人が、

「あの二人を夫婦にしたらなおなお珍らしかろう。村の名物になると思うがどうだ」

と云いますと、みんな一時に、

「それがいいそれがいい」

と手をたたいてよろこびまして、そこに居た二人の両親にこの事を話しますと、両親も、

「村の人がみんなですすめられるのならよろしゅう御座います」

と云いました。それから二人に聞いて見ますと、二人はまだ会ったことはありませんが、かねてからお互に人と違った身体を持っていることを思いやって、両方で可愛そうに思っていたところですから、喜んで承知いたしました。

村の人はいよいよ喜びました。

「サア面白いぞ。世界中にない珍らしい夫婦がこの村に出来るのだ。村中で寄ってたかって大祝いに祝え」

というので、大騒ぎをやって用意をしましたので、まるで殿様の御婚礼のような大仕かけな婚礼の支度が出来ました。

そうして、いよいよ婚礼の儀式がある晩となりますと、村中の人は皆、あらん限りの立派な着物を着飾って、神様の前の広場に集まりました。

神様の前の広場には、作り花で一パイに飾られたお儀式の場所が出来ていまして、そのうしろに出来た宴会場には、村の人々が作った御馳走やお酒が一パイに並んでいます。まわりには篝火がドンドン燃やしてありますので、そこいらは真昼のように明かるく見えました。

そのうちに、町から来た楽隊が賑やかな音楽を初めて、時間が来たことを知らせましたので、みんな神様の前に集まって、礼服を着た神主と一所に、珍らしい夫婦の豚吉とヒョロ子が来るのを今か今かと待ちました。

けれども、いくら待っても夫婦の姿は見えませんでした。

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