ルルとミミ
本文約11,500字 ・ 読了時間 約23分
あらすじ(AIが作成しました)
水晶のように美しい湖のほとりに住む孤児の兄妹、ルルとミミは、父の遺志を継ぎ鐘を作ろうと励む。ルルが完成させた鐘は当初鳴らなかったが、兄の失踪後にミミが再び鐘を突くと清らかな音色を響かせた。湖の底で兄を待ち続けていた妹は、花の鎖を伝って静かに水底へと沈んでいく。やがて湖面が澄み渡り、抱き合ったままの二人の姿が浮かび上がるという物語である。
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むかし、ある国に、水晶のような水が一ぱいに光っている美しい湖がありまして、そのふちに一つの小さな村がありました。そこに住んでいる人たちは親切な人ばかりで、ほんとに楽しい村でした。
けれどもその湖の水が黒く濁って来ると、この村に何かしら悲しいことがあると云い伝えられておりました。
この村にルルとミミという可愛らしい兄妹の孤児が居りました。
二人のお父さんはこの国でたった一人の上手な鐘造りで、お母さんが亡くなったあと、二人の子供を大切に大切に育てておりました。
ところが或る年のこと、この村のお寺の鐘にヒビが入りましたので、村の人達に頼まれて新しく造り上げますと、どうしたわけか音がちっとも出ません。お父さんはそれを恥かしがって、或る夜、二人の兄妹を残して湖へ身を投げてしまいました。
その時、この湖の水は一面に真黒く濁っていたのでした。そうして、ルルとミミのお父さんが身を投げると間もなく、湖はまたもとの通りに奇麗に澄み渡ってしまったのでした。
それから後、この村のお寺の鐘を造る人はありませんでした。夜あけの鐘も夕暮れの鐘も、または休み日のお祈りの鐘もきこえないまま、何年か経ちました。
村の人々は皆、ルルとミミを可愛がって育てました。そうして、いつもルルに云ってきかせました。
「早く大きくなって、いい鐘を作ってお寺へ上げるのだよ。死んだお父さんを喜ばせるのだよ」
ルルはほんとにそうしたいと思いました。ミミも、早くお兄さんが鐘をお作りになればいい。それはどんなにいい音がするだろうと、楽しみで楽しみでたまりませんでした。
二人はほんとに仲よしでした。そうしてよく湖のふちに来て、はるかにお寺の方を見ながらいつまでもいつまでも立っておりました。
「おおかたお寺の鐘撞き堂を見て、死んだお父さんのことを思い出しているのだろう。ほんとに可愛そうな兄妹だ」
と村の人々は云っておりました。
「水が濁るとよくないことがある」