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TORENDIA

章魚の足

本文約590字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

凧屋の店先に並ぶ達磨と章魚は、手足の有無を巡って激しい喧嘩を始める。章魚は自慢の長い足で達磨を蹴り、仲裁に入った奴凧をも攻撃する。やがて三人の子供に買い取られた三つは原で空に揚がるが、章魚だけは自慢の長い足が欅の枝に引っかかり、持ち主の子供が無理に引っ張ったことで破れてしまう。自分の特徴であるはずの足の存在を、章魚は強く後悔するようになる。

夢野久作

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🎧 章魚の足 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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凧屋の店にいろいろ並んでいる凧の中で、達磨と章魚とが喧嘩をはじめました。

「ヤイ達磨の意気地なし。貴様は鬚なんぞ生やして威張っていても、手も足も出ないじゃないか。俺なんぞ見ろ。こんなに沢山イボイボの付いた手を八つも持っているんだぞ」

「そんな無茶を言うものでない。お前も坊主なら乃公も坊主だ。坊主同士だから仲よくしようじゃないか」

「おれが貴様みたような奴と、手も足もないヌッペラボーと仲よくするものか。喧嘩すりゃあ負けるものだから、そんな弱い事を言うのだろう。態を見ろ、弱虫奴」

といきなりその長い八本の足で達磨を蹴り飛ばしました。達磨はたいそう口惜しく思いましたが、手も足もないのでただあの大きな眼玉から涙をホロホロ流して蹴られていました。

傍にいた奴凧が大層気の毒がって、

「章魚さん、もう喧嘩はおよしなさい」

と仲裁しました。

すると章魚は、

「お前なんか黙っておれ」

と言って又蹴りつけました。奴も怒ってはみたが、これも手が袖から出ず、足も二本しかないので、じっと堪えていました。

翌朝、太郎、次郎、三郎の三人に三つともそれぞれ買われて、原に連れて行かれました。そうすると太郎さんの達磨も次郎さんの奴も、元気よく高く高く揚りました。しかし三郎さんの章魚は長い足が欅の枝に引っかかりました。そして三郎さんが無理に引っ張ったために破れて仕舞いました。その時章魚は、ああ足がなければよいと思いました。

完

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