モノロオグ
本文約10,100字 ・ 読了時間 約21分
あらすじ(AIが作成しました)
八畳の西洋家具が並ぶ空室へ、一人の女が訪れる。かつてこの部屋で生活していた西洋人の男性に密かな思いを寄せ、病院の付き添いとして過ごした日々や、互いに言葉が通じないながらも通い合った交流を独白する。突然の別れに困惑と悲しみをあらわにし、残された私物を眺めながら、抱えていた苦悩や相手への言葉にできない感情を吐露する。やがて、部屋を後にする覚悟を決め、遠く離れた相手に別れを告げるまでを描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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花茣蓙を敷きつめた八畳の日本間、寝台、鏡戸棚、テーブル、椅子等、すべて安物の西洋家具。寝台には、掛蒲団がなく、マトラスだけになつてゐるところ、テーブルの上に椅子が一脚、逆さまに載せてあるところ、この部屋が、今誰にも使はれてゐないことを示してゐる。
装飾と云へば、壁に、新聞の新年附録らしい美人画が、鋲で留めてあるきりで、そのほか、何か「歴史的な」ものを求めれば、柱の一本に、四月十七日の日附が出たカレンダアがぶらさがつてゐる。
正面は障子。左手は、一間の床の間と一間の押入。
曇つた日の午後四時過ぎ。
廊下で、ばたばたと跫音がする。
障子があく。女が現はれる。
派手なセル。流行遅れのショール。汚れた足袋。
部屋ぢうをひと通り見廻した後、彼女は呟く。
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――ほんとだ。……やつぱし、ほんとだわ……。
部屋の中を、あつちこつち歩きまはる。寝台に腰をおろす。
――何処かへ越したんなら、この道具だつて持つてく筈だわ……。だつて、これみんな、要るものばかりぢやないの、お神さんが、いくらで買ひ取つたか知らないけど、あたしに云へば、掛合ひ方だつてあるわ……。
急に起ち上り
――だけど、随分ひどい人ね、あたしに黙つて、帰つちまふなんて……。いくらなんでも、そんなことつてないわ……。
椅子にもたれかゝり、涙ぐむ。