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TORENDIA

道遠からん 四幕

本文約46,000字 ・ 読了時間 約92分

あらすじ(AIが作成しました)

女性が社会や家庭の主導権を握るある漁村では、男性が家事や身なりに気を配りつつ、女房の言動に振り回される奇妙な風俗が定着している。近代的な法律や掟が住民を縛る中、男たちは日常の窮屈さを抱えながらも、独自の人間関係を築こうとする。本作は、男女の役割が反転した特異な社会で、恋愛や生活の機微に翻弄される人々の姿や、正体不明の事件に揺れる村の騒動を四幕構成で描く。

岸田國士

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原始の面影をそのまゝ伝へたやうなところと、近代の文明が到りついたところとを、あらゆる点で混ぜ合せた、ある時代の、ある地方の漁村である。

女性によつて社会及び家庭生活の主導権が握られてゐるために生じた風俗の転倒がみられるほか、人間の思想にも心理にも、その未来像らしいものは少しも示されてゐない。両性はそれぞれ、両性にふさはしい習慣のいくらかを失つてゐるかもしれないが、それにも拘はらず、男は男、女は女にすぎぬことをしばしば立証する。

第一幕

漁師の住ひとわかるひろい部屋。右手は勝手の土間に通じてゐる。部屋は中庭からすぐに上れるやうになつてをり、中央に低いテーブル、その周囲に腰掛と茣蓙。ラヂオと煽風器。

年の頃まちまちな男たち、あはせて八、九人が、テーブルを中心に、思ひ思ひの姿勢で坐つてゐる。

シゲ、ナミ、フデ、ロク、ヒサ、サキ、アヤ、シノ、ユキである。

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