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TORENDIA

石

本文約670字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

自宅の門から玄関までの通り道に敷かれた数々の石を綴る。作者は幼少期、日常の往復で足元にある石に躓き、時には邪魔だと蹴飛ばすこともあった。しかしその中には、青磁のような色艶を持ち、草花と調和して美しく映る二つの石がある。成長するにつれ、踏むことを惜しみ避けて通っていた石を軽々と飛び越えられるようになった作者が、かつて愛着を抱いた石の存在を振り返り、現在の変化と心境を静かに描き出す。

平山千代子

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🎧 石 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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私の家に門から玄関まで、ずつと石が敷いてある。

私は、始めは土をふんで歩いた。その頃からこの石とはお馴染である。何度この石につまづいて、口惜しい思ひをしただらう。

「こんな邪魔な石! どけちやえばいゝのに……」と、けとばして見たことも何度かあつた。

この憎まれたり、けとばされたりした、沢山の石の中に、私の好きな石が二つある。一つは玄関近くにあつて、少し青味がかつた……丁度、青磁のやうな色をした、大きい石で、そのきれいな色、なめらかなつやが私の心を牽いた。

もう一つは丁度、門と玄関との中間に位し、割合に四角く、やはり青ツぽい色をしてゐる。

春はつゝじの花びらをうけ、夏は水引草の小さい花の赤さと調和して、尚更、美しく私の心をとらへた。

私にはこれらの石が、とてもきれいに見えたのである。毎朝の往復にもこの石だけは、わざ/\よけて通つた。この石の青さを汚すのが惜しい様な気がして、ふむのにしのびなかつたのである。

夏になると、水まきの時などよくたわし、でこの石をみがいて、その青さに一種の驚きに近い喜びをおぼえた。ジヤンケンとびをする時も、この石だけはふむのが惜しくて、内しよでよけたものである。

少し大きくなつてからは、この石をとびこした。が、困る事には、玄関に近い石の隣りがやはり二番目に私の好きな石なのである。どつちもふみたくない。

早く二つとも、跳びこせる様に大きくなりたいと、何度か練習したものだが、今では二つ位はヘイチヤラで、跳ばうと思へば三つでもとべる様になつた。

かうして、かつては私に可愛いがられたこの石も、今ではちつとも他の石と変らなくなつてゐる。

完

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