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TORENDIA

転校

本文約5,400字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

何度も転校を繰り返した著者が、名古屋の学校での苦い経験と、その後に東京の元の女子大へ復校した際の葛藤を綴る。厳格な校則や教師への不満から形式的な勉強に逃避し、自暴自棄に陥った自らの未熟さを深く反省する。周囲の厚意で復校を果たしたものの、自身の学力不足や試験結果を突きつけられ、卑屈な思いを抱える。この一連の経験を通し、自らの意思でより良く生きることの重要性と、苦い経験が持つ意義を学ぶ。

平山千代子

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🎧 転校 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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誰にとつてもいやなのは転校である。

私は二年になる時に仙台から東京へ、東京で小学校を卒業して、女子大の附属へ入り、その年の九月に名古屋へ、翌年の九月に又、女子大へと、四度、いやな思ひをした。中でも最もいやな思ひ出を残したのが、女学校に這入つてからの二つ、名古屋へと、東京へとである。小学校のときの転校は、それ程、苦痛を感じないうちに、すぐ馴れてしまふが、女学校へ這入つてのちの転校はずい分つらかつた。東京から名古屋への時は殊に、折角、勉強してやつと這入り、やうやく学校にも、お友達にもなれ始めたばかりの時だつたから、とても/\いやだつた。

最初から私は反対で、「一人だけでも、おばあ様のところに残る」と頑張つてきかなかつたのだが、九月も間際になつて、どうしても転校しなければならなくなつてしまつた。

「長年の宿望だつた女子大、やつと三月しかたゝないのに、むざ/″\名古屋の学校なんかへ……」私は泣き泣き転校準備の勉強をやつた。

愛知県一を訪ねたのが八月の末だつたらう。転校届けを出して、一週間とたゝぬうちだつた。しかし、女子大の方からの書類が間に合はなかつたので、試験をうけさせてくれず、私は「女子大へかへれるか」と思つたが、官舎の木俣さんのお世話や何かで、S校へ入つてしまつた。

あの場合、危うく宿なしの憂き目をみるところだつたのだから、木俣さん、その他には充分感謝すべきであり、私もよく校風をのみ込んで、それに順応して行くべきであつたのだが、私は、ちつともうれしくなかつた。

もと/\好きで入つた女子大と、いや/\押し込められたS校では、比べものにならない。云ふこと、なすことのすべてが気に喰はず、癪の種だ。だからS校のよさなどわかる訳がない。私は、只、むやみやたらと女子大をこひしがつた。転校する者に共通の悪い癖は、在校中はさほどにも思はないのに、転校すると、前の学校はいやによくみえる。そして又、新しい学校のアラばかり目につく、それである。

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